亀井文夫 全作品上映その2

■1月26日(日)午後1時30分より2作品上映します。

〔上海 1938年・77分〕

撮影:三木茂・音楽:飯田信夫・解説:松井翠声

日中戦争の発端となった盧溝橋事件から武漢攻略まで、上海租界の記録映像などが映し出されている。

東宝文化映画が企画した長篇記録映画三部作『上海』『北京』『南京』の第一作。日中戦争突入後の上海でロケーションを行った作品で、日本最初の現地同時録音による記録としても知られる。名カメラマンの三木茂るが、移動撮影やパノラマ撮影などを駆使して廃墟の街や激戦の跡をくっきりと捉え、戦争の虚しさを雄弁に語っている。亀井文夫が編集を担当、そのままでは軍の怒りを買うということから、日本軍の宣撫工作をちりばめる。そういったカモフラージュの中にも「中国人の視点」で日中戦争をとらえるという編集を貫く。

〔日本の悲劇 1946年・38分〕

満州事変から太平洋戦争までの歩みを戦時中のニュース映画の映像を編集してたどりながら、戦争責任を追及した亀井文夫の戦後第一作。

モンタージュ理論の本場、ソ連レニングラード映画技術専門学校で学んだ亀井文夫らしく、戦争遂行の目的で製作された既存のニュースフィルムをモンタージュして、過去の歴史を批判的に叙述した。ラストに軍服姿の昭和天皇が背広姿へとオーバーラップして変わっていくシーンを挿入。検閲を通過したものの吉田茂首相の働きかけでGHQが再検閲を行い上映許可が取り消され、フィルムも没収。しかし没収されるまでの1週間で計21回の上映を実行、長蛇の列ができるほどの大入りであった。

青池憲司監督(映画「津波のあとの時間割」監督)の解説付

会場:荒町市民センター(若林区荒町86-2 ℡022-266-3790)

参加費:1000円 プレイガイド:桜井薬局セントラルホール

助成:(公財)仙台市市民文化事業団

主催・問合せ:右岸の羊座 ℡022-353-9071